防災
ゲリラ豪雨とは? 起きる仕組みやリスクを予想して備えよう
近年、春から夏にかけて、「集中豪雨やゲリラ豪雨が発生した」というニュースをよく耳にするようになりました。
集中豪雨とゲリラ豪雨は、どのように違うのでしょうか。ゲリラ豪雨が発生するメカニズムとともに、それらを避けるための対策も併せてご紹介します。
目次
ゲリラ豪雨とは?
局地的に短時間で降る激しい大雨のことを「ゲリラ豪雨」といいます。実はゲリラ豪雨は正式な気象用語ではなく、気象庁では「局地的大雨」と呼んでいます。一般的に「ゲリラ豪雨」という言葉が広まったのは、ゲリラ豪雨の発生回数が増えた、2000年代半ばごろからです。
集中豪雨とゲリラ豪との違い
集中豪雨とゲリラ豪雨との違いには、降水域の広さと降雨時間、発生しやすい時期が挙げられます。
詳しく確認していきましょう。
集中豪雨
集中豪雨の場合は、50~300km×20~50km程度の帯状の降水域が数時間停滞して大雨を降らせ、梅雨や9月などに多く発生します。
ゲリラ豪雨
ゲリラ豪雨は、20~30km四方の広さに、数十分ほどの間に数十mmの大雨が降ります。時期的には、5月や夏に多くなっています。集中豪雨よりもゲリラ豪雨の方が、より局地的に短時間で起こる分気象予想がしづらく、そのため二次被害が発生しやすいという傾向にあります。
ゲリラ豪雨が発生するメカニズム
出典:日本気象協会「ゲリラ豪雨のしくみ」
ゲリラ豪雨は、積乱雲の発生によってもたらされます。
夏は太陽の強い日差しによって地表や地表付近の空気が熱されるため、上昇気流が発生しやすく、大気の状態が不安定になります。そして、大気の状態が不安定なときに活発な気流の対流が起こると、強い上昇気流に伴って積乱雲が発達しやすくなるのです。
この発達した積乱雲が局地的に短時間で激しい雨を降らせ、ゲリラ豪雨と呼ばれるようになりました。
ゲリラ豪雨が起きるとどうなる?
発達した積乱雲によって急に激しい雨が降るゲリラ豪雨は、雨が低い場所に一気に流れ込みます。そのため、総雨量は少なくても、短時間で大きな被害が発生する場合があります。
ゲリラ豪雨の降り始めから数十分で、発生する恐れがあるため、注意が必要です。
【ゲリラ豪雨で起こりやすい被害】
・中小規模の川の急な増水で、中州に取り残される
・地下街・地下鉄駅に雨水が浸水し、流れ込む
・道路が冠水し蓋が開いていたことに気づけず、マンホールの中へ転落する
・地下空間に閉じ込められる
また、河川の上流でゲリラ豪雨が降った場合には、自分が現在いる地域で雨が降っていなくても、川の水位が急激に上昇することがあります。
河原などで遊んでいる場合には、増水や氾濫に十分注意しましょう。
ゲリラ豪雨を避けるための対策
大規模な災害に発展するリスクのある「ゲリラ豪雨」。
避けるためには、どのような対策を取ればいいのでしょうか。具体的に説明します。
天気予報をチェックする
普段から、出かける前には、大雨の予報が出ていないか確認しておきましょう。
天気予報をチェックした際に、「大気の状態が不安定」「天気の急変」「1時間に50㎜以上の非常に激しい雨が降る」「過去数年間で最も土砂災害が発生する危険性が高くなっている」などの表現が使われているときは、特に注意しなければなりません。
外出先であっても、大雨・洪水の警報が発表されたら、速やかに避難の準備を始めましょう。
危険な兆候があれば避難する
空や天気の状態が以下のような場合には、天気の急変に注意しましょう。
【注意したい空や天気の状態】
・真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる
・雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする
・冷たい風が吹き出す
・大粒の雨やひょうが降り出す
このような気象現象は、発達した積乱雲が近づいている証拠です。
今後、雷を伴ったゲリラ豪雨が降り、短時間で急激な河川の増水や浸水、土砂災害が起きる危険性が高まります。
「避難指示が出ていないから大丈夫」とは考えず、避難に時間がかかる場合や、川沿いや地下施設などの危険な場所にいる場合は、特に早めに避難することが大切です。
なお、ゲリラ豪雨から避難する際には、河川や用水路、急な山の斜面、地下道など、水害のリスクが高まる危険な場所には近づかないようにしてください。
ゲリラ豪雨のリスクがある時は、早めに避難を
ゲリラ豪雨や集中豪雨から身を守るためには、普段から出かける前には天気予報をチェックし、警報や注意報が発令されていないか確認しておくことが大切です。
もしそのような情報を聞いた場合は、外出先でもスマートフォンなどから度々天気予報をチェックして、何かあればすぐ避難できるように備えておきましょう。