水とくらし
水道水が飲める国は世界に12ヵ国だけ!飲めない理由や注意点とは?
日本では、水道の蛇口をひねって流れ出た水をそのまま飲むことができますが、そのような国は世界でそう多くはありません。海外では、水道の水を飲むことができない、そもそも水道がない、といった国も多いのが現実です。
水道の水が飲める国と飲めない国の違いは、どのような点にあるのでしょうか。また、水道の水が飲めない国に行く場合、どのような点に気をつけるべきでしょうか。詳しく解説していきます。
目次
海外で水道水が飲める国は12カ国
出典:国土交通省『令和4年版 日本の水資源の現況』
国土交通省の資料によると、世界の国のうち、「水道水をそのまま飲める国」は日本を含む12ヵ国、「そのまま飲めるが注意が必要な国」は32ヵ国とされています。数えられているのは、日本とオセアニア、ヨーロッパの国が多いようです。ただし、こちらは年によって、数に若干変動があります。
それぞれの地域の水道事情を、詳しく見ていきましょう。
アジア
アジアで水道の水が飲めるとされているのは、日本とアラブ首長国連邦の2ヵ国しかありません。日本は、水質の管理技術が世界でもトップクラスです。水が飲めるだけでなく、おいしさにもこだわって水質が管理されています。一方、アラブ首長国連邦は、貯水槽の清掃が十分でないため、現地の人はミネラルウォーターを購入して飲んでいます。
ヨーロッパ
ヨーロッパは、世界の中でも水道水を利用できる国が多いエリアです。水資源に恵まれた環境であることや、十分な資金があるため水質が管理されていることなどが理由に挙げられるでしょう。中でも、アイスランドは水質の美しさが世界一ともいわれるほどです。ただし、日本の水が軟質であるのに対しヨーロッパの水は硬質なので、日本人がヨーロッパの水を利用する場合はお腹を壊す可能性もあり、ミネラルウォーターを利用する方が無難といえるかもしれません。
アメリカ
カナダやアメリカでは、水道水を飲むのではなく、ミネラルウォーターを購入するのが一般的です。ニカラグアやコスタリカ、パナマなどでは、注意すれば水道水が飲めるともいわれていますが、日本人が現地を訪れる場合には、やはりミネラルウォーターを購入する方が安心です。
オセアニア
オセアニアでは、オーストラリアのキャンベルなどの都市部や、ニュージーランドでは水道水を飲めるとされています。ただし、オーストラリアは水不足が深刻で、ミネラルウォーターが1本400円程度と高め。注意が必要です。
アフリカ
南アフリカ共和国のみが、アフリカの中では水道水をそのまま飲んでも安全とされています。レソトやボツワナ、ナミビア、モロッコなどは、水道水を飲めますが注意が必要な国となっています。ただし、エリアなどにもよるため、やはり現地ではミネラルウォーターの購入がおすすめです。地域により水が販売されていないところもあるため、よく確認しておきましょう。
海外で水道水が飲めない理由
なぜ、世界の多くの国では水道が引かれていなかったり、水道が引かれていても水を飲むことができないのでしょうか。次のような理由が考えられます。
理由①水源を確保できる環境ではないから
アジアやアフリカ、オセアニアなどには、干ばつが深刻で水資源がないところもあります。そういう地域では、水道水を利用することができません。
理由②水質が悪すぎて不衛生だから
河川へのごみの大量放棄、未処理の生活・工場排水や農薬による水質汚染などが原因で、浄水施設を通っても、安全に飲めるようになるまで水質が浄化できない場合もあります。
理由③インフラが整備されていないから
技術があっても国土が広い国では、水道などのインフラをまんべんなく整備すると、莫大なお金と時間がかかってしまいます。アメリカや中国、ロシアなどの広大な国土を持つ国では、インフラを隅々まで整備するよりも、水は買って飲むという選択を取ることが多いようです。
海外で水道水を使う場合の注意点
「水道水が飲料に適さない」とされている国や地域を訪れる場合には、次のような点に気をつけましょう。
1.歯磨きの際に飲まないように注意する
歯磨きで口をゆすいだりする場合、水を飲まない限りは大丈夫です。しかし、誤って飲んでしまったりするのが不安であれば、ミネラルウォーターを使ってゆすぐことをおすすめします。
2.煮沸消毒は手間がかかる
海外の水道水を浄化するために、5分以上煮沸するという方法もあります。しかし、加熱したり冷ましたり、十分な時間をかけたりと手間がかかるので、どうしても水道水を利用しなければならない場合以外はミネラルウォーターを使う方が手軽です。
3.屋台などの現地の料理にも注意
レストランの水は基本的には安心ですが、海外の屋台などの場合には水道水を使って食材を洗っていることがほとんどです。特に、サラダなどの生ものの場合には、水道水で洗った食材をそのまま口にすることになるため、腹痛を起こす可能性もあります。
まとめ
豊かな水資源に恵まれ、水質管理も厳重な日本のような国は、世界でも実は数が少ないのです。ただ、水資源は無限にあるわけではなく、無駄に使っていると将来的に枯渇してしまうようなこともあるかもしれません。水に恵まれた環境に感謝して、少しでも水を無駄なく利用するように努めていきましょう。