SDGs
水はどう作られ、どこへ行く?水が循環する仕組み
水は、私たちの生活に欠かすことのできません。当たり前のようにあるものだと思いがちですが、自然の循環システムによって支えられています。本記事では、その水が循環する仕組みや課題、自分たちで水資源を守る方法などをご紹介します。
目次
水循環とは
地球上にある全ての水は、海水や河川の水として同じ場所に常に留まっているのではありません。太陽の光によって海水や地表面の水が蒸発し、上空で雲に変化します。やがて、雨や雪となって地表面に降り、それが水道や下水道、川を流れて海に戻ってきます。このように、水が絶えず循環する流れを、「水循環(みずじゅんかん)」といいます。
地球上にある水のうち、使える量はごくわずか
地球の表面の約70%は水で覆われていて、地球上の水の総量は14億立方キロメートルと推定されます。この数字から、地球には多くの水があるように感じられますが、このうち使える水の量は限られています。
水の総量の内訳は、海水などの塩水が97.47%、河川や湖などの淡水が2.53%という比率。この淡水のほとんどが南極・北極の氷や氷河であり、人が利用しやすい河川や湖沼などの水は、地球上に存在する水の総量のわずか0.008%、およそ1万分の1にしかありません*。
*内閣官房水循環政策本部事務局『水循環について』
持続的な社会を守るために欠かせない、水循環
水循環によって海水が蒸発する際に淡水化されることで、人が利用しやすい淡水資源が常に作り出されています。このため、持続的に使うことができる水の量は、河川や湖沼の淡水の量ではなく、絶えず「循環する水」の一部ということになるのです。私たちが生きていくのに欠かせない水を得る上で、この水循環を健全に保つことは非常に重要といえるでしょう。
水循環を構成する要素
出典:横浜市環境創造局・道路局・水道局パンフレット『わたしたちの街をめぐる水』
上の水循環の構成要素の中から、あまり聞きなれていないものを説明します。
水源林(すいげんりん)
上空から降ってきた雨の水を蓄える森林のことです。水源林の土は、落ち葉や枯れ枝が積 もって、スポンジのような状態になっています。そのため、降った雨が地中にゆっくりと浸み込んでいく間にきれいな地下水となり、少しずつ川に湧き出しています。
水再生センター
各家庭などで使われた水は、地下にある下水道管 を通り水再生センターへ。そこで微生物などを使い汚れを分解して、水をきれいな状態にしてから川や海に放出しています。
水を循環させる上での課題
これまで、水質汚染や地盤沈下などの水循環に関する深刻な課題については、一定程度は改善されていきました。しかし、都市部への人口の集中や産業構造の変化、地球温暖化に伴う気候変動等の影響によって、新たなリスクが高まる可能性も懸念されています。
気候変動リスク
地球温暖化に伴い、水害や土砂災害、高潮災害、渇水などが頻発する恐れがあります。
水インフラの老朽化
老朽化した水インフラが今後急速に増加していくことが予想され、 これに起因する災害時や事故発生時のリスクが高まっています。
水環境・生態系の保全・再生
水質に係る環境基準の達成率について、河川においては約9割(平成24年度)であるのに対し、湖沼においては約6割(平成24年度)と依然として低い水準に留まっています。
雨水や再生水の利用
雨水・再生水の重要性が再認識され、近年導入事例が増加。しかし、依然として利用量は全体から見れば少量に過ぎないので、今後増やしていくことが望まれます。
地下水の保全と利用
近年、地下水の過剰採取による地盤沈下は沈静化していますが、少雨の年に地盤沈下が進行している地域もあります。一方で、地下水位が回復しつつある地域では、地下構造物の浮き上がりなどの事象が発生するなどの問題も。
水源地の保全
水源地の多くを占める森林は、所有者の把握や伐採・開発の規制のほか、整備や保全にも取り組んでいます**。
**首相官邸資料『水循環を巡る現状と課題について』
水資源を守るために私たちができること
私たちが生きていくために欠かせない水資源を守るために、普段の生活の中で以下のようなことに気をつける必要があります。
節水する
洗濯物をまとめて洗うことで回数を減らしたり、洗い物や洗顔、お風呂に入る際に水を流しっぱなしにしたりしないようにしましょう。
汚れのもとを流さない
油汚れを紙で拭き取ってから食器を洗うことや、洗剤やシャンプーなどを使いすぎないことを心がけてみてください。
地域の川や水源を守る
基本的なことですが、まずは川や湖にごみを捨てないこと。また、地域の水路や川の清掃活動や草刈り活動、水源となる森林の間伐ボランティアなどへの参加が挙げられます。
まとめ
水循環という水資源を生む自然環境のシステムや、循環させることでの課題などをご紹介しました。水資源を守るために、自分たち一人ひとりができることはわずかですが、社会全体に広がれば大きな力となります。未来に向けて美しい水資源を守っていくために、水を守る大切さを考えましょう。