暗渠管
暗渠排水の世界史
こんにちは、営業部の前田です。
図書館で長濱謙吾さん著書の「暗渠排水」(昭和23年)を発見しましたので、
その著書に記述されていた「暗渠排水の世界史」をご紹介します。
目次
世界最古の暗渠排水
暗渠排水が行われた起源は古く、最古のものは西暦紀元前1900年頃の古バビロニア王国内で墓地の排水に使用されていたそうです。
今から4000年前、古バビロニア王国はメソポタミア地方で栄えた文明で、「目には目を、歯には歯を」でお馴染みであるハンムラビ法典の時代です。暗渠排水には土を焼いた管を使用していたそうです。
暗渠排水の最初の研究記録
暗渠排水の研究として残されている最初の記録は、古代ローマ時代(紀元前300~紀元後60年)の農業論を訳述したRoman farm managementという著書です。著者は、マルクス・ポルキウス・カト。
その一節に、こう記述されています。
“ 湿潤な土地に深さ4ft、上幅3ft、底幅1ft(1ft=30.48cm)の溝渠を掘削して、これに岩屑を填充すると、排水することができる。もし岩屑のないときは、生柳や柴でもよい。また支渠は地下水の侵入するように3ftの深さに埋め戻さねばならない。 ”
この記述は、古代ローマ時代に衛生目的として、排水設備を石礫(小さな石)や粗朶(木の枝)で作って研究していた内容です。これが暗渠排水について最初に残されている記録です。都市に清浄な水を供給した古代ローマの設備は、現代でも現役で使用可能なほど精巧な造りだったそうです。
各都市の暗渠排水
- フランス
1620年に北フランスにある修道院の庭園から排水管が発見されています。その排水管が作られた時期は明らかではありませんが、土管の長さは10inch、太さは4inch(1inch=24.5mm)の直径で4ftの深さに埋められていた円筒形のものでした。
- イギリス
1652年にイギリス人監督官Walter Blighが、このように記録しています。
“ 暗渠排水は、その土地の最も急傾斜地に傾斜に沿って堀り、これに砕石、或いは粗朶を埋設するのが良い。 ”
- アメリカ
1835年ニューヨーク州で手製の土管を埋設したのが暗渠排水の最初で、その後15年間で延長26kmの土管を敷設したとされています。
おわりに
他にも興味深い内容もありましたが、ここでは暗渠排水の世界史をご紹介しました。
紀元前から暗渠排水が実践され、それが今日の暗渠排水の技術に繋がっていると思うと、先人の知恵というのは偉大だと改めて実感しました。
Writer:営業企画課 前田 雄大