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桜の開花は温暖化の影響で年々早まる!2100年の開花予測とは

桜 開花

 

桜の開花時期は、私たちの季節感を象徴する重要な指標ですが、近年ではそのタイミングが年々早まっていることが観測されています。これは、地球温暖化による気温上昇が大きな要因です。

今回は、桜の開花と温暖化の関係性と、未来の桜予測についてご紹介します。

 

 

目次

     

     

     

    温暖化と桜の開花の関係性

    桜 開花

     

    春の訪れを告げる桜の開花は、日本人にとって季節の移ろいを感じる大切な風物詩です。しかし近年、この桜の開花時期が年々早まっていると感じている方も多いのではないでしょうか。そこには地球温暖化が影響していると考えられています。詳しく見ていきましょう。

     

     

    開花が年々早まっている現実

    日本各地で春の風物詩として親しまれている桜(ソメイヨシノ)は、ここ数十年で開花時期が顕著に早まっています。2021年には観測史上最も早い3月14日に開花が記録されました。昔は桜の開花時期は4月初旬の入学シーズンだったのに、近年では卒業シーズンである3月下旬になる年も珍しくありません。

     

     

    地球温暖化が与える影響

    この開花時期の変化の背景には、地球温暖化が挙げられます。地球規模で気温が上昇する中、日本国内の平均気温もこの100年間で約1.4℃上昇しました*

    桜の開花は、冬の寒さを感じたあとに暖かくなることで花芽が成長し始める「休眠打破」という仕組みに依存していますが、気温が高くなることでこのプロセスが早まり、結果として開花が早まったのです。

     

    世界各地でも同様の傾向

    桜の開花は日本だけでなく、韓国、中国、アメリカ・ワシントンD.C.などでも観測されており、いずれの地域でも温暖化による開花時期の早まりが報告されています。ワシントンD.C.では、例年4月初旬だった満開日が近年では3月中に訪れるようになりました。

     

    *気象庁「日本の年平均気温

     

     

     

    この30年で桜の開花が早まった

    桜 開花

     

    ※出典:環境省「地球温暖化で桜の開花に異変!?日本列島でいっせい開花も?」

     

    過去30年間で日本各地の桜の開花時期は明らかに早まっています。この30年で、以下のように変化しました。

     

     

    平均開花日が“約1週間”前倒しに

    上記の気象庁の観測データをもとにすると、1990年代から2020年代の約30年間で、東京の桜の平均開花日は約6日〜7日早まりました。例えば東京では、1990年代の平均開花日は3月29日ごろでしたが、2020年代では3月22日ごろまで前倒しされています。これは一時的な変化ではなく、はっきりとしたトレンドとして現れているといえるでしょう。

     

     

    桜の休眠状態がなくなり開花しない地域が出てくる可能性も

    桜の代表種であるソメイヨシノは、冬の間に一定期間の低温にさらされることで休眠状態を解除し、春に開花します。しかし、気温上昇が進むと冬の寒さが足りず、開花に必要な条件が揃わなくなる恐れがあります

    例えば、福岡市や高知市、さらには東京23区内でも、21世紀末には現在のような桜の開花が見られなくなる可能性があるという予測もあります**。

     

    **環境省「地球温暖化で桜の開花に異変!?日本列島でいっせい開花も?」

     

     

     

    2100年の桜の開花状況をシミュレーション

    環境省は、日本周辺の気温を平均で2~3℃程度高くなるよう設定したシナリオでの、2100年シミュレーション結果を公表しました。2100年には、桜の開花は以下のようになるとしています。

     

     

    シミュレーション結果:東京の未来予測

    桜 開花

     

    ※出典:環境省「地球温暖化で桜の開花に異変!?日本列島でいっせい開花も?」

     

    上の図のように、このシミュレーションでは、2100年の東京は、桜の開花が現在よりも大幅に早まる可能性があると予測。また、気象庁の研究でも、温室効果ガスの排出が高いシナリオ(RCP8.5)では、開花日は今より約2週間早い「3月中旬」になると見込んでいます**。

     

    日本各地の変化も顕著に

    上記の環境省のシミュレーションでは、2100年には、日本各地でも桜の開花時期が大きく変化すると予測しています。気象庁のシミュレーションによると、温暖化が進行した場合、東京や大阪では開花が現在より約2週間早い3月中旬に、福岡など温暖な地域では3月上旬に達する可能性があるそうです。一方、東北や北海道でも開花が前倒しとなり、開花の地域差が縮小する傾向が見られます**。

     

     

    開花の早まりがもたらす影響

    この桜の開花の前倒しは、観光業や地域経済に大きな影響を与える可能性があります。

    例えば、桜の見頃が年度末や新年度の繁忙期と重なることで、花見イベントの運営が難しくなったり、観光客の減少につながる恐れがあります。また、従来の「桜前線」に基づく旅行計画も立てにくくなり、観光地での混乱が生じてしまうかもしれません。

     

    **環境省「地球温暖化で桜の開花に異変!?日本列島でいっせい開花も?」

     

     

     

     

    このまま温暖化が進めば桜前線は消失する可能性も

    桜 開花

    現在、桜前線は南から北へとゆっくり移動しながら日本列島を彩りますが、温暖化がさらに進めば、その流れ自体が崩れる恐れがあります。

    例えば、九州や本州南部では冬の寒さが不十分となり、桜が正常に開花できなくなる可能性も指摘されています。一方、北海道では温暖化によって桜の開花が早まり、「前線の終点」が東北から北へと移動するかもしれません。

    そのように桜が今のように楽しめない春が来ないように、私たち一人ひとりが温暖化について気を付けていく必要があるといえるでしょう。

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