水とくらし

PFASとは?水道水との関連性や日本の水の安全性について紹介

pfas 水道 水

 

「PFAS(ピーファス)」という物質をご存知でしょうか。

24年11月に、全国の水道水におけるPFASの検出状況を調査した結果を国が初めて公表したところ、過去に国が定めた暫定目標値を大きく上回っていた地点がいくつかあったことから、水道水の安全性について話題になりました*。

今回は、このPFASという物質がどういうものなのか、日本の水道水の安全性も含めてご紹介します。

 

*環境省「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査の結果について (水道事業及び水道用水供給事業分)

 

 

目次

     

     

    PFASとは

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    PFASとは、有機フッ素化合物の総称です。「ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物」の略称で、1万種類以上もの物質があるとされています*。PFASはどのような特徴をもつ物質なのか見ていきましょう。

     

    *農林水産省:食品中のPFASに関する情報

     

     

    PFASは私たちの身の回りのものに使われている

     

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    PFASは元々は自然界に存在しておらず、人工的に作り出された物質です。

    また、PFASのうち、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオク タン酸)という2種類の物質は、これまで幅広い用途で使用されてきてきました。

     

    具体的には、フライパン表面のフッ素加工やレインコートの撥水加工のほか、泡消火剤、塗料など、私達の身の回りにある日用品に使われています*。

     

     

    PFASの中では国際的にも規制されている物質も

    PFASの中でも、PFOSやPFOAは、自然界で分解されにくく(難分解性)、環境中に蓄積されやすかったり(高蓄積性)、また風や水などに乗って長距離を移動するという性質があったり(長距離移動性)するため、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)に基づき、PFOSは2009年に「制限」、PFOAは2019年に「廃絶」と、それぞれ対象物質に分類されました。

    また、PFOSの代替物質であるPFHxSも、2022年に「廃絶」として対象物質に分類されています。

     

    これを受けて、日本でも、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に基づき、製造や輸入などが規制されました**。

     

    なお、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、2023年12月の発表で、PFOAの発がん性を「ある」と認定しています。 その際、PFOSも、新たに発がん性がある「可能性がある」の分類に追加されていました***。

     

    **農林水産省:食品中のPFASに関する情報

    ***環境省:PFOS 及び PFOA に関する国内外の動向について

     

     

     

    水とPFASの関連性

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    PFASは自然界で分解されることはほぼなく、水に溶けやすいという性質があることから、川や地下水、水道水などに流出することがあります。これが水道水などを通して、人体に吸収・蓄積されるリスクとされています。

     

     

    川や地下水などの環境中の水におけるPFASを調査

    2022年に、環境省と地方公共団体は、川や地下水などの環境中の水におけるPFOSおよびPFOAについて、全国的な調査を実施しました。2022年度は38都道府県1258地点で行われ、日本が定めるPFOSとPFOAの合算で1Lあたり50ng(ナノグラム・1ngは1mgの100万分の1)までとする暫定目標を超過した地点は、16都府県の111地点でした*。

     

    なお、超過した地点は、都市部やその近郊に分布しています。米軍や自衛隊基地・空港、過去にPFOSおよびPFOAなどを使用したとされる工場などとの関係が懸念されていますが、米軍基地への立ち入り調査が難しいことなどから、特定はほとんど進んでいません

     

    *環境省「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査の結果について (水道事業及び水道用水供給事業分)

     

     

    水道事業におけるPFASを調査

    2020年4月に、厚生労働省はPFOSおよびPFOAを「水質管理目標設定項目」に指定し、暫定目標値を合計で50n/L以下としました。この数値は、「体重50kgの人が水を一生涯にわたって毎日2L飲み続けても、この濃度以下であれば健康に悪影響が生じないと考えられる水準」を示すものです。また、2021年4月には、PFHxSを水道水の要検討項目として追加しました。

     

    そこで、国土交通省と環境省は、全国の水道施設におけるPFOSおよびPFOAの検出状況を調査しました。調査結果によると、暫定目標値を超過した事業は2020年度には11事業ありましたが、いずれも水源を切り替えるなどの対策を行うことで年々減少させて、最新の検査では目標値を下回り、2024年度(9月30日時点)ではゼロとなっています****。

     

    ****国土交通省「水道におけるPFOS 及びPFOA に関する調査の結果について(水道事業及び水道用水供給事業分)

     

     

    日本の水道のPFASに対する水質基準

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    摂取量が高くなりやすい可能性が高い飲料水については、各国がPEOSとPFOAに対して基準値を発表。日本では水1LあたりPEOSとPFOAの合計が50ngまでとされ、この量を毎日摂取しても健康には影響がないだろうと考えられています。

     

    一方、ドイツでは2028年からPEOSとPFOAの合計が1Lあたり20ng、アメリカでは2024年4月よりPEOSとPFOAはそれぞれ1Lあたり4ngと定められました。考え方の違いにもよりますが、海外では、日本に比べて厳しい基準が設けられているといえるでしょう*****。

     

    *****厚生労働省「PFOS 及び PFOA に関する国内外の動向について

     

     

    水道水に対して家庭でもできる安全対策がある

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    家庭でのPFASへの水道水対策は、どのようにすればよいのでしょうか。一般的には、浄水器を使う方法があります。活性炭による除去が一般的で、メーカーによってはPFAS除去を掲げる製品も販売されています。ただし、浄水器の除去性能にはばらつきがあるため、行政による浄水器の性能試験方式の統一が求められるともいわれています。

     

    水道水に含まれるPFASについては、検査や報告は法律で義務づけられていません。国は今回の調査結果も踏まえ、暫定目標値から、法律で検査や改善が義務づけられる「水質基準」に引き上げるかどうか検討することにしています。調査結果により住民の不安が広がり続ける中で、国には現状とその対処法などを丁寧に説明していく必要があるといえるでしょう。