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全国の水道管が老朽化!?水漏れを自分で確認する方法も紹介
日本では、蛇口をひねれば飲料水が流れてくるのが当たり前です。しかし、近年では、水道管の老朽化により、現在の水道事業の継続が危ぶまれています。
また、老朽化が原因による、水道管の破裂するというニュースを目にすることもあるのではないでしょうか。
今回は、水道管が老朽化する現状やリスクのほか、水道管の水漏れを自分で確認する方法についてもご紹介します。
目次
全国の水道管が老朽化している現状
※出典:厚生労働省「いま知りたい水道ー日本の水道を考えるー」
日本全国に水道が普及したのは、人口が増えインフラの整備が進んだ1960~1970年の高度成長期です。
そのため、耐用年数を超えた水道管路の割合が年々上昇。耐用年数である40年を超えている全国の水道管の割合は、令和2年度末時点で約20.6%となっています*。
水道管の老朽化が問題となる背景
なぜ今、水道管の老朽化が問題となっているのでしょうか。
現在、日本の水道には、以下のような背景があります。
老朽化の進行
上記でご紹介したように耐用年数を超えた老朽化している水道管の割合が多くなっている問題で、年間2万件を超える漏水・破損事故が発生しています。しかし、全国に設置された水道管の長さは膨大で、すべての水道管を更新するには130年以上かかるといわれています*。
耐震化の遅れ
水道管路の耐震適合率は4割に満たず、耐震化は年1%程度の割合でしか進んでいない点が問題です。 そのため、地震などの大規模災害時には、断水が長期化するリスクがあります*。
水道事業者の経営基盤が脆弱
水道事業は主に市町村単位で経営されているため、多くの事業が小規模で経営基盤が脆弱である点が問題です。 小規模な水道事業は職員数も少なく、適切な資産管理や危機管理対応に支障をきたす可能性があります。
また、人口減少社会となり、水道料金収入が減少し経営状況が悪化しており、現在の質での水道サービスを保てなくなってしまうかもしれません*。
計画的な更新のための備えが不足
計画的な更新のために必要な資金を十分確保できていない事業者も多い点も問題といえます。
3分の1程度の水道事業者において、給水原価が供給単価を上回ってしまい、原価割れで資金を確保する余裕までないというのが現状です*。
*厚生労働省「水道の現状と 水道法の見直しについて」
水道管の老朽化によるリスク
水道管が老朽化すると、どのような問題があるのでしょうか。
以下のような点が発生する可能性があります。
水の流れが悪くなる
老朽化した水道管をそのまま放置していると、水道管にサビが溜まり、水道水の流れが悪くなるおそれがあります。
また、さびついている箇所があると、水道管自体の老朽化の進行がさらに進んでしまいます。
水道管が破損・破裂する
サビが発生した水道管をそのままにしておくと、その箇所から水道管が破損したり破裂したりしてしまう可能性があります。
その際、地上に設置されている水道管であれば破裂した際水が溢れ出てくるので気が付きますが、地中に設置されている水道管の場合破裂しても破裂してもすぐに気付かないこともあります。
断水する
水道管が老朽化し破裂してしまうと、断水してしまいます。
断水すると、調理に必要な水がない上、洗う水もありません。また、お風呂やトイレなども利用できないため、水道が復旧するまでホテルなどに宿泊しなければならなくなる可能性もあります。
老朽化した水道管の水漏れを自分で確認する方法
全国で多くの水道管が老朽化し、破損・破裂するリスクがあることがわかりました。
実際に、水道管が破損・破裂してないか、自分で調べる方法を説明します。
水を止めた状態で水道メーターを確認する
家の中にあるすべての水道を止めた状態で、水道メーターが動いてないかを確認する方法です。水道メーターは、集合住宅の場合は玄関ドアの外にある扉の中、戸建ての場合は庭や駐車場の入口付近などにある場合が多いでしょう。
水を止めているにもかかわらず、メーターが動いていたら水漏れの可能性があります。
ただし、まずは蛇口が緩んでいないかなど、蛇口周辺から水が漏れていないかを確認してみてください。蛇口周辺でも水が漏れていない場合は、水道業者などに依頼するのも方法のひとつです。
月々の水道料金を確認する
特別な理由がないにもかかわらず、急に水道の使用量が増え、水道料金が格段に上がっている場合は、水漏れの疑いがあります。
その場合も、まずは家の中にある各蛇口から水が漏れていないかを確認し、漏れていない場合には業者に点検してもらいましょう。
水漏れについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
水道水の利用を当たり前とは思わずに大切に使おう
近年、日本では、水道管の老朽化が問題となっています。水道管が老朽化することでリスクがあるとはいえ、社会問題なども背景となりなかなか水道管の更新は進んでいません。
しかし、これまで上水道は厚生労働省、下水道は国土交通省と別の管轄でしたが、令和6年に上下水道とも国土交通省に行政移管されました。今後は、水道事業の一元管理と効率的な運営が期待されています。
私たちも、水道がある暮らしを当たり前とは思わずに、持続可能な社会を目指すためにも、水道水の無駄遣いを防ぎ、大切に使うようにしましょう。また、少しでも水漏れの可能性を感じたら、すぐに確認するようにしてください。
日本の水道の歴史や課題については、こちらの記事も併せてご覧ください。
日本の飲料水や水道の歴史とは? 安全な水を守るための課題も紹介
水道水が飲める国については、こちらの記事も併せてご覧ください。