防災
2024年はなぜこんなに暑い?年々日本が暑くなる理由も紹介
2024年の夏も暑い日が続き、9月に入っても相変わらず30度を超える日が続いています。9月2日に行われた気象庁の発表によると、2024年6月~8月までの気温は、気象庁が1898年に統計を取り始めてから、去年と並び最も高くなった*とのことです。なぜ今年の夏はこんなに暑かったのか、年々暑くなる理由とともに、この異常な暑さがいつまで続くのかも併せてご紹介します。
*気象庁「日本の夏(6~8月)の平均気温」
目次
2024の夏がなぜこんなに暑いのか
7月に顕著な高温をもたらした、大規模な大気の流れに関する模式図
※出典:気象庁「報道発表」
2024年の夏は、気象庁が統計を取り出して以降、2023年と並び最も平均気温が高くなりました。気象庁の異常気象分析検討会は、2024年の夏が暑い理由として、以下を挙げています。
高気圧の影響
7月と8月ともに偏西風が北へ蛇行したため、西日本を中心に、 対流圏の上層まで伸びる背の高い暖かな高気圧に覆われ続けました。特に、7月は、太平洋高気圧が西日本に向かって強く張りだしたことが、高気圧圏内で日射が強まったほか、下降気流の影響で気温が上昇した理由として考えられます**。
エルニーニョ現象の発生
長期的な地球温暖化に加え、春まで続いたエルニーニョ現象で、北半球中緯度の地球の気温がかなり高くなりました。また、日本近海の海面水温がかなり高かったことも、夏に気温が上がりやすかった原因といわれています**。
**気象庁「報道発表」
日本が年々暑くなる理由
※出典:気象庁「日本の夏(6~8月)の平均気温
冒頭で述べた通り、気象庁の発表によると、2024年夏の日本の平均気温は、1898年に統計を取り始めてから最も高くなりました。1991~2020年における30年間の夏(6~8月)の平均気温をとした基準値より+1.76℃と、2023年の夏と並んで歴代1位タイとなりました。
上の図は気象庁が公表した「日本の夏(6~8月)の平均気温偏差の長期変化」で、赤線は気象庁が気温観測を始めた1890年からこれまでの長期変化傾向を、青線は偏差の5年移動平均値を表しています。この図によると、やはり年々日本の夏の気温は上昇していることがわかります。
地球温暖化
気象庁や東京大学などの研究グループの発表によると、日本近海の温度は、世界平均よりも地球温暖化に伴う上昇率が高いとされています。海面水温が高い状態は今も続いていて簡単には下がらないとみられ、日本の異常な暑さは今後も続くと考えられています***。
***科学技術振興機構「「海洋熱波」が「最も暑い夏」をもたらしたと気象庁など分析 今夏も危険な高温続くと予測」
ヒートアイランド現象
ヒートアイランド現象とは、都市環境や人口熱などの影響で都市の気温が郊外よりも高くなる現象のことをいいます。
コンクリートなどが地表を覆う都市区域は日射による熱の蓄積が多く、夜間の気温の低下を妨げます。さらに、高層化や高密度化した建築物が多いことで地表面からの放射冷却が弱まる上、風通しが悪くなり地表面に熱がこもりやすくもなってしまいます。また、都市区域では人口密度も高いため、さまざまな産業活動による熱の排出の影響も大きくなります。
特に、関東甲信越地方では、東京都心部を中心に、神奈川県、茨城県、群馬県にも高温域が広がるヒートアイランド現象の影響が強いとされています****。
****気象庁「季節ごとの平年の天候についてのコラム 「夏の高温の要因」」
自然変動
気圧配置の変化やジェット気流の蛇行といった自然変動も、日本の夏に気温が高くなっている理由として挙げられます。上記で「偏西風の蛇行や太平洋高気圧の張り出しにより、今年の夏の気温は高くなった」と述べましたが、こちらが自然変動です。
自然変動は世界全体の温度が上昇する地球温暖化とは異なり、暑くなる地域があれば平年と同じような気温の地域もあるといった現象になります。
今年のこの異常な暑さはいつまで続く?
9/7~10/7までの気温予報
※気象庁「季節予報」
気象庁が現在発表している9月上旬から10月上旬にかけての1ヵ月の気温予報によると、上の図でわかる通り、日本全国が70%以上の確率で平年より高くなる見込みです。
今後は、2024年の後半にラニーニャ現象が発生する確率が高いとされ、このラニーニャ現象が発生すると「夏は気温が高く、冬は寒い」というメリハリのある気候になるほか、豪雨や台風の長期化などに影響があるといわれています。
9月中はまだ30度以上の真夏日を記録する日も多いと考えられるので、今後も熱中症などには気を付ける必要があるでしょう。
熱中症については、こちらの記事も参照ください。
今後も暑くなる日本の夏に備えよう
今後も日本の夏は年々暑くなっていくと考えられているため、さまざまなことに影響が出てくるでしょう。2024年の6~9月に東京23区で熱中症の疑いにより亡くなった人の数は、9/5時点で過去最多となる252人を記録しています。
また、2024年の夏は米不足の影響が深刻ですが、これは2023年の夏が猛暑だったために米が十分育たなかったことが影響とみられています。さらに、2024年の夏も暑いことで、新米への品質の影響が出ています。
このように、夏が暑くなることで起こるさまざまな弊害を認識し、前もって備えていくようにしましょう。