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暗渠とは?さまざまな渠の種類と東京にある暗渠スポットを紹介

暗渠 と は

 

東京は、かつて荒川や神田川、目黒川、多摩川といった、多くの川が流れる街でした。しかし、現在では、特に都心部で、それほど川を見かけることはありません。

 

なぜなら、都市化が進むにつれ、多くの川が暗渠化され、地中に埋められてしまったからです。今回は、そんな暗渠とはどのようなものであるかについて触れつつ、渠と呼ばれる水路の種類や東京にある暗渠についてもご紹介します。

 

 

目次

     

     

     

    暗渠とは、地下に埋められた水路のこと

    暗渠 と は

     

    元々、暗渠の「渠(きょ)」は、「水路や溝などの人工的に作られた水の通り道」といった意味を持っており、暗渠(あんきょ)とは、地下に埋められた水路のことです。

     

    下水道工事などで見られる地中に埋められたコンクリート管のほか、蓋をして地上からは見えないようになっている水路なども暗渠にあたります。世界的に有名な暗渠で作られた構造物に、主に中近東諸国などでオアシスから水を引く際に利用されている「カナート」があります。

     

    この暗渠が利用された排水設備は「暗渠排水」と呼ばれ、地下の余分な水分を効率的に排出できる仕組みになっています。

     

    暗渠排水については、詳しくはこちらの記事をご確認ください。

    暗渠排水とは?

     

     

     

    さまざまな渠の種類

    暗渠 とは

     

    渠には、暗渠以外にも、実は種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

     

     

    開放的な作りになっている開渠

    暗渠と反対に、地上から見える水路のことを開渠(かいきょ)、または明渠(めいきょ)といいます。上部空間が空いていたり水面から見えたりする水路の総称で、上から蓋などで覆われていないか、蓋が簡単に取り外せる構造になっています。

     

    周囲に臭いが漏れるような場合や、外部から侵入させたくない場合などには暗渠が用いられますが、そういったリスクがない場合には、設置や維持が比較的簡単な開渠が作られることが多いといえるでしょう。

     

     

    管状の形をしている管渠

    管渠(かんきょ)は、給水や排水を目的とする管状の水路のことで、下水道などにも利用されます。丸いパイプ型の管が主流ですが、中には四角い形のものもあります。

     

     

    箱型の水路や通路である函渠

    「函(かん)」は四角という意味を持つため、函渠(かんきょ)は箱型の水路のことです。

    また、函渠は水路だけでなく、地下に埋没される箱型のコンクリートでできた構造物を「ボックスカルバート」といいますが、これを利用した道路の下に作られる歩行者用の通路も該当します。

     

     

     

    東京にある暗渠

    東京には多くの川が流れているため、実は暗渠が多くあります。

    かつて江戸時代には、それらの川を多くの船が行き来し、ウォーターフロントを形成していました。しかし、近代化とともに都内にある多くの中小河川は下水道に転用され、暗渠となって地中に埋められていったのです。

     

     

    渋谷川の暗渠(渋谷区~港区)

    暗渠 とは

    ※現在の渋谷川

     

    渋谷区から流れる「渋谷川」は、港区を通り「古川」と呼ばれ、最終的に流れ着く東京湾まで、全長11km程です。現在、渋谷川で暗渠化されているのは、そのうちの渋谷駅より北側の上流部分です。

     

    周辺にある渋谷川の支流である「河骨川(こうほねがわ)」は、「春の小川」という童謡のモデルにもなったことでも知られ、童謡が作られた大正時代は、渋谷川周辺はのどかな風景だったようです。

     

    また、109などがあり若者が多く訪れる渋谷センター街は「宇田川町」という地名ですが、昔はこちらも渋谷川の支流である「宇田川」という川がありました。現在では、河骨川も宇田川も道路で蓋をされ暗渠化し、下水道として活用されています。

     

    一方、渋谷川は、渋谷駅の南側にある歩道橋近くにある「稲荷橋」より南(恵比寿)側は開渠になっているので、今でも渋谷川を望めます。しかし、稲荷橋より北(渋谷駅・原宿)側は暗渠化され、すべて上から地面で蓋をされてしまっています。

     

     

    桃園川の暗渠(中野区~杉並区)

    暗渠 とは

    ※現在の桃園川緑道

     

    神田川の支流である「桃園川」は、杉並区の荻窪から高円寺や中野区の中野を通り、神田川まで流れ着きます。現在では、川の大部分が暗渠化され、緑道となっています。

     

    江戸時代、桃園川は水田に引用されていましたが、大正時代以降、高円寺などの周辺地域では稲作が行われなくなり、次第に埋め立てて宅地などに転用されていきました。その後、桃園川の残った部分も暗渠化され、下水道として利用されるようになります。

     

    暗渠化された桃園川の地上部分は、当初「桃園公園」が作られていましたが、老朽化に伴って現在の「桃園川緑道」として生まれ変わり、地域の人々の憩いの場となっています。

     

     

     

    暗渠めぐりで、昔の土地や地形に思いを馳せよう

    暗渠 とは

     

    今回は、暗渠の概要や渠と呼ばれる水路の種類、東京の街中に今もある暗渠をご紹介しました。最近では、昔の東京土地や地形を紐解きながら暗渠をめぐる方も多く、さまざまな暗渠の紹介本が出版されています。興味がある方は暗渠をめぐることで、多くの川が流れていた、在りし日の東京(江戸)の姿を思い浮かべられるようになるでしょう。

     

    弊社「ニホン・ドレン株式会社」では、集水能力に優れた暗渠排水管「ミツバ・ドレン」を活用した、暗渠排水管工事の実績があります。グラウンドや庭、造成地の湧水対策にお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

     

    お問い合わせ:ニホン・ドレン株式会社