防災

山火事が起きる原因は?山火事の影響やリアルタイムで知る方法

山火事 原因 日本

 

近年、世界中で山火事や森林火災が起きたというニュースを目にすることが増えてきました。日本では、2017年から2022年までの5年間で平均すると、山火事が年間で約1,300件発生し、焼損面積は約700ヘクタール、損害額は約3.5億円です。1日あたりにして、全国で毎日約4件の山火事が発生し、約2ヘクタールの森林が燃え、約百万円の損害が生じていることになるのです*。

 

この記事では、山火事が起きる原因や起きることでの影響などをご紹介します。

*林野庁「日本では山火事はどの位発生しているの?

 

 

目次

     

     

    山火事が起こる原因

    山火事 原因 日本

     

    山火事が起こる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。さまざまなものがありますが、次のようなものが挙げられます。

     

     

    不注意や危険行動など人為的なもの

    以下は、日本の山火事の原因をグラフ化したものです。原因として多いものから、たき火、火入れ、放火(疑い含む)、たばこ、マッチ・ライター、火遊びとなっています。

     

    ■原因別出火件数(平成29年~令和3年の平均)

    山火事 原因 日本

    出典:林野庁「山火事の直接的な原因にはどのようなものがあるの?

     

    また、日本における山火事の発生件数の約7割は冬から春(1月〜5月)にかけて集中しているそうです。

    寒い時期に山火事が増加する環境要因としては、山には落ち葉が積もっていること、風が強いこと、大気が乾燥していることなどが挙げられます。

    春先には山登りや山菜採りなどで山に入山する人の数が多くなるほか、畑などの野焼き、枯れ草焼きなどが行われることも原因といえるでしょう**。

    **林野庁「山火事のおきやすい時期はいつ?

     

     

    自然発火によるもの

    日本の山火事の原因は人為的なものが主ですが、海外では自然を要因とするものも多くあります。

     

    山火事が自然発火する原因としては、乾燥が挙げられます。乾燥することにより落ち葉の水分がなくなり、落ち葉同士が摩擦することで自然発火し、周りの木々に燃え広がることで山火事となるケースです。

     

     

    気候変動によるもの

    近年の地球温暖化といった気候変動も山火事の原因として増えています。

    温暖化により雨が少なくなるため干ばつや乾燥が起きやすくなり、結果として山火事が起きやすくなってしまうのです。

     

    世界的に見ても、干ばつが起きている地域では、山火事や森林火災が起きやすくなっています。カナダやモンゴル、朝鮮半島といった地域で、干ばつが原因となる山火事が発生しました。

     

    また、温暖化により、気温が上昇することでも山火事が起こりやすくなっています。アラスカとシベリアといった北極圏にある地域でも、2019年は山火事による森林火災が最も深刻でした。

     

    アラスカでは、2019年に過去最高気温の32℃を記録しています。シベリアでも、2019年の平均気温は長期平均より10℃近く高かったそうです。北極圏の地域では異例の高温と乾燥状態により、大規模な火災が発生したものと考えられます。

     

     

     

    山火事が起きることによる影響

    山火事 原因 日本

     

    山火事はさまざまな要因で起こることがわかりました。では、いざその山火事が起きてしまうと、私達の暮らしにどのような影響を及ぼすのでしょうか。

     

     

    大気中に大量の二酸化炭素が発生することにより、地球温暖化が加速する

    山火事で森林が燃えることにより、大量の二酸化炭素が大気中に放出されます。これが気候変動へ影響を与え、地球温暖化が加速し、さらに森林火災を悪化させるという悪循環を生み出します。

     

     

    野生動物の焼死や生息地の焼失により、生態系が変化する

    2019年にオーストラリアで起きた大規模な山火事により、5,000体以上のコアラが焼死し、公有のコアラの生息地の24%が焼失したと推定されています。このような山火事による森林破壊で生物の多様性が危機にさらされると、生態系のバランスが崩れてしまうおそれもあります。

     

     

    森林を生活の糧にして暮らす人々の暮らしを脅かす

    世界中の人口4分の1にあたる約16億人が、生活の糧を森林に頼っているとされています。山火事による森林火災は、近隣都市への大気汚染を引き起こすことにより住民の呼吸器官に害を与えたり、住宅を全焼させ住む場所も奪ったりします。

    2019年のアメリカのカリフォルニア州で起きた大規模な山火事では、約18万人もの人が住む場所から離れることになりました。

     

     

     

    世界で増加する山火事をリアルタイムで知る

    山火事 原因 日本

    出典:Google「Google マップ」山火事レイヤー

     

    近年、世界のさまざまな国で山火事が深刻な問題となりつつあります。2021年7月の全世界の山火事によるCO2排出量は、2003年に記録を始めてから最大の1258.8メガトンに達し、これは過去最高値を20%ほども上回るものだそうです。

    また、全世界の山火事によるCO2排出量における半分以上が、北米とシベリアでの山火事によるものです***。

     

    世界で増加する山火事に対し、Googleは2021年から、地図サービス「Google マップ」において、山火事の状況をリアルタイムで確認できる機能を発表しました。

    この機能を使えば、Google マップのサービスの中で山火事レイヤをオンにするだけで、山火事が起きている場所をリアルタイムで把握することができます。

    ***EUのコペルニクス「大気監視サービスのレポート

     

     

     

    まとめ

    世界で起きている山火事は自然発火や気候変動によるものであったりと、なかなか自分では防ぎにくいものが多いですが、日本で起きている山火事は人為的な原因が主なので、私たちの注意によって防ぐことが可能です。

    山火事を防ぐためには、以下のようなことに注意しましょう。

     

    <山火事を防ぐためにできること>

    ・枯れ草などがある火災が起こりやすい場所では、たき火をしない

    ・たき火等火気の使用中はその場を離れず、使用後は完全に消火する

    ・強風時および乾燥時には、たき火、火入れをしない

    ・火入れを行う際、許可を必ず受けること

    ・たばこは指定された場所で喫煙し、吸いがらは必ず消すとともに、投げ捨てないこと

    ・火遊びはしないこと***

    ***林野庁「山火事予防に当たって注意することは?

     

    これらは一見基本的なことだと思われるかもしれませんが、私達一人ひとりの意識の変化が、山火事を防ぐためには重要といえるでしょう。